さまよう魂たち

 製作総指揮ロバート・ゼメキス、監督ピーター・ジャクソン、主演マイケル・J・フォックスと豪華な顔ぶれにも関わらず、なんともうさん臭さの漂うB級作品だった。雑多な登場人物たちの必然性なきドタバタ劇。色んな要素が詰め込まれた物語だけど特に印象に残るものはないっていう。

 ダニー・エルフマンによる大仰なBGMが萎えた。『マーズ・アタック!』のバカバカしさに豪勢なサウンドは逆に合ってたけど、この作品はチープな音の方がぴったりきたと思う。

ストーカー

 ロビン・ウィリアムス扮するDPEショップの店員が、お得意さんのヨーキン一家に妄執するお話。ストーキングされる被害者側の家庭の、夫婦仲が悪いとこが良かった。仲が良く、一丸となってる家族よりも話に奥行きが出てたと思う。
 画の構図や色彩、小道具なんかが非常に凝っていて、なかなか面白いサスペンスだったです。

サウンド・オブ・サイレンス

 日曜洋画劇場
 犯人に魅力がない。というか、人間性が感じられない。人質にとられた主人公の娘や、ヒステリックな妻は役立たずで、主人公のモチベーションを高めるためだけの役割だし、この手の話に出てくる刑事はいつだって木偶の坊だ。この物語の鍵となるエリザベスも、整った顔立ちとエキセントリックな台詞でミステリアスなムードを盛りたてるだけで、“個”としての立ち上がりは何もなかった。
 結局、生命を持った登場人物は主人公のマイケル・ダグラス一人だけだったと言える。あとの人たちは全員書き割りで事足りたと思う。

アナスタシア

 お気楽ミュージカル。ディズニー作品ではないけど、作風も絵柄も完全にディズニー・アニメだった。

 観終えて大して時間経ってないが、内容がまるで思い出せない。確か仔犬が可愛かった記憶がある。あと悪者がやっつけられて、お姫様が幸せになってたような。ミュージカルなのに歌い踊るシーンのウキウキ感があまりなかった。それくらい。かなり印象薄い。

ミリオンダラー・ベイビー

 うわーちょっとこれはすげえなあ……。圧倒的。観ていてこうまでに、狂おしいっつーかなんつーか、心掻きむしられる感覚に襲われた映画は初めてかもしれない。ヒラリー・スワンクの表情とか、もう卑怯というか洒落にならないというか、そんなもん心揺さぶられるわ。もうたまらんわ。アホか。やりすぎじゃボケ。とにかく面白かった。面白かった。

ショーン・オブ・ザ・デッド

 近所のビデオ屋で何度か探したけどなくて諦めてたら、まさかコメディの棚に置いてあったとは。なるほど、ポップで楽しい作品。良質ブリティッシュ・コメディならではのハイセンスな映像と音楽だった。

 主要人物たちの関係性と駄目っぷりを、短い時間でばっちり分からせてくれる序盤は見事だった。ダメ人間の暮らしの抽出が完璧。厳しい生活のことはとりあえず置いといて、キーポンロッキンだよってなエドのキャラクターが素晴らしい。キュート。

 ゾンビが現れてからの展開も楽しい。編集の刈り込み方が上手いんだと思うが、無駄のないストーリー進行がすごく気持ちいい。中だるみがなくて、最後まであっという間だった。

ドッグ・ソルジャー

 狼男とイギリス軍小隊が戦うB級アクション・ホラー。
 手ブレしまくりの、臨場感あふれるカメラワークとか撮り方では工夫してるけど、内容はない。緊迫感を煽りつつ、ひたすら狼男と戦うシーンが続くが、メリハリがなくて途中で飽きた。狼男の特殊メイクのしょぼさはちょっとだけ面白い。