スパイ・ハード

 ザ・レスリー・ニールセンとしか言いようのない作品。素晴らしい。

 レイ・チャールズハルク・ホーガン等、くっだらないパロディネタに多数の有名人自らが出演してることや、エキストラに至るまですべての役者が全員真剣に演技しているところに、作品の懐の深さを感じる。本物だ。

ペット・セメタリー2

 つまらなすぎる。パート1はスティーブン・キングが脚本等制作に絡んで面白かった稀有な映像作品だが、キングのセンス一辺倒の、単色で彩られた作品だった。しかしこれは何の色もついていなかった。
 監督はパート1と同じ人だが、前作からは何も得ることができなかったみたい。ただ血がたくさん出たりゾンビが暴れたりするだけの虚しいホラーでした。

オー・ブラザー!

 コーエン兄弟ならではのすっとぼけた映画。色彩が独特。
 主人公のズッコケ脱獄3人組は、『フォレスト・ガンプ』のように、やることなすことすべてなぜか上手い方に転がっていく。その度に音楽をかき鳴らし演出を駆使して、盛りあげていく。結果はあっさりとしか見せないが、プロセスの描き方は結構くどい。ギャグ台詞も狙い過ぎててくどい。説明過多の部分と過少の部分が混在してるのが味っちゃ味か。

永遠と一日 [DVD]

 めちゃめちゃ長いワンカットの多用と、抑揚のないストーリー運び。いかにもヨーロッパ的な、「退屈な映画」の典型みたいな作品だったが、面白かった。

 こういう作品は能動的に娯楽をつかみとらなきゃいけないわけだが、長回しのとき基本的には人物にピントが合ってるけど背景も綺麗に撮れてて、それが物を考えるのに適してて気持ちよかった。

故郷への遠い道

 綻びてしまった家族の絆を紡ぎなおすヒューマン・ドラマ。演出でどうやって盛りあげるか、家族一人一人にキャラクター性という血液をどう通わせるかにかかっている作品だが、どれを取ってもふつーだった。ふつー。
 最初の数分で、あ、これは普通の映画だと察せてしまう。そうなるとこちらも気合いを入れて画面に相対することができなくて、普通かもしくはそれ以下のテンションで接してしまう。

バタフライ・エフェクト

 主人公が何回も過去へタイムスリップしてよりよいと思われる選択を繰り返すが、その都度悪い方向へと進んでいってしまう星新一チックなストーリー。
 やたらにテンポがよくて、湿っぽく感傷に浸るシーンはほとんどなく、結構気楽にタイムスリップしてっちゃう。その軽さに最後まで馴染めないまま終わった。
 でも確かに、そんな能力を持っていれば、落ち込むより先にさっさとタイムスリップしてるだろうと思う。俺の中で「軽さ」と、作品内における「リアル」が上手く繋がらない。よくないことだわ。

ワンダー・ボーイズ

 一言で乱暴にまとめちゃえば、文学に傾倒する文化系男たちのビルドゥングスもの。なんやかや迷ってる→いろいろあって吹っ切れる→なんでもないようなことが幸せだと思う、の流れ。

 こういう癒し系の作品は、その時の精神状態によって評価が大いに異なってくる。いいこと言ってらっしゃいますけど結構です、と今の俺は思った。今回はご縁がなかったということで……。